やりたいこと
AlarmManager を使って、アプリが起動していないように見える状況でもアプリを起動させたい。
結果
アプリがタスク一覧に載っていなくてもアラームから起動することはできるが、強制停止状態では無理。
本体の OS が API 29 以降では Alarm のようなバックグラウンドからアプリを起動させることに制限がかかっているので、一旦 Notification などでユーザに通知だけ行い、ユーザ操作によってアプリを起動させることになるだろう。
バックグラウンドからのアクティビティの起動に関する制限 | Android デベロッパー | Android Developers
https://developer.android.com/guide/components/activities/background-starts
前回、AlarmManager を使って反復アラームを設定し、AndroidManifest.xml に設定した <receiver> の class がブロードキャストされた intent を受け取ってログ出力するところまで確認した。
私がやりたいのは、アプリが立ち上がっていない(と思われる)状況でも AlarmManager での発火をトリガにしてアプリを起動したい、というものだ。
プリインストールのような system 属性のアプリであれば好き勝手できそうだし、Google Play からインストールしたアプリであればあまり勝手なことをされたいとは思わないだろう。
なので今回は Google Play からインストールするような system 属性を持たないアプリで期待したことができるのか、できないならどこまでやれるのかを調べたい。
前回は 15 分にしたが、あれは WorkManager の最短が 15分だったはず、くらいで決めたものだ。
AlarmManager なら 3 分でもできた。
2022-08-20 20:48:32.650/com.hiro99ma.alarmtest2 D/com.hiro99ma.alarmtest2.MainActivity: setAlarm
2022-08-20 20:53:47.674/com.hiro99ma.alarmtest2 D/com.hiro99ma.alarmtest2.NotificationReceiver: Receive !!
2022-08-20 20:56:28.482/com.hiro99ma.alarmtest2 D/com.hiro99ma.alarmtest2.NotificationReceiver: Receive !!
2022-08-20 20:59:47.663/com.hiro99ma.alarmtest2 D/com.hiro99ma.alarmtest2.NotificationReceiver: Receive !!
2022-08-20 21:02:47.665/com.hiro99ma.alarmtest2 D/com.hiro99ma.alarmtest2.NotificationReceiver: Receive !!
まあ、間隔が短くできるということはリソースを食いやすいということでもあるだろうから、アプリの審査としては厳しくなってしまうのかも? どういう基準で見ているのかは知らんのだけど、面倒なアプリの方が審査に時間がかかりそうな気がするじゃあないか。そういう基準だったら、AlarmManager ではなく WorkManager の方が緩いと思うのだ。
ともかく、3分くらいだったらテストしやすいのでそれで見ていこう。
まず「アプリが終了している」という状態について確認が必要だ。
「アプリが動いている」という状態が一番確実なのは、そのアプリがフォアグラウンドになっていて Activity が表示されているときだ。これは間違いなく動いているだろう。
ならばActivity が表に出ていないときがどうなのか、ということになる。
調べていて出てきたのが「 Doze」と「アプリスタンバイ」というものだ。
Doze とアプリ スタンバイ用に最適化する | Android デベロッパー | Android Developers
https://developer.android.google.cn/training/monitoring-device-state/doze-standby?hl=ja
書いてあるとおりなら、
【Doze】
デバイスが長い間使用されていない場合にアプリのバックグラウンド CPU とネットワーク アクティビティを保留する【アプリスタンバイ】
ユーザーがしばらくの間操作していないアプリのバックグラウンド ネットワーク アクティビティを保留
アプリスタンバイはネットワークだけしか保留しないのか? 文章だけ読むと、先に「アプリスタンバイ」になり、それでも長い間使用されないようであれば「Doze」になるようにも見えたのだが、そうではないのだろう。
アプリで Doze をテストする
https://developer.android.google.cn/training/monitoring-device-state/doze-standby?hl=ja#testing_doze
「dumpsys deviceidle force-idle」を実行してそのアプリの動作が変わるなら、Dozeモードで動作が変わるアプリということだろう。
アプリスタンバイの場合はどれをスタンバイにするか指定しているので別物かなぁ、というところだ。
ネットで検索したらもっとよい情報が出てくるだろうが、今回はそこまで考えたくないので無視だ。
私が「アプリが「終了している」というのは、アプリスタンバイに近いと思う。
そして Android のタスク一覧から該当するアプリを上スワイプしたときも「終了している」だろうから起動してほしい。
できればアプリ情報画面で強制停止(force stop)させたあとからも起動してほしいのだが、これは難しいと思う。
あとは、アプリの中から「終了」を行った場合だ。
これが何をしているのかがよくわからんのだが、Activity が 1枚しかないときに「戻る」を選ぶと「終了しますか?」と尋ねてくるアプリがあったように思う。
ユーザが「アプリを終了したい」と思うことと、アプリとして終了するという実装は、一致しないとはいわないまでも、一致しづらいことが多いと思う。例えばゲームのハイスコアをサーバで管理してみんなで共有するようなアプリがあったとして、ユーザが「ハイスコアを更新したから終了させよう」と思ったタイミングと、アプリが「スコアのデータをサーバにアップしよう」と実装されているタイミングは必ずしも一致しないだろう。ユーザは終わった気分でいても、他のユーザがアクセス中だったりしてアップロードを保留しているかもしれない。サーバにアクセスが集中しないようにわざと遅らせるようにしているかもしれない。
そう考えると、モバイルのアプリは「終了」が即時行われるとは考えづらい。たぶん即時終了させるのがアプリ情報画面から「強制停止」を行う操作だろう。
一覧から上スワイプするのは強制停止ではないと思う。Doze にさせるか、スタンバイにしているかのどちらかではないか。調べていないけどスタンバイじゃないかなぁと思っている(個人の感想です)。
端末を USB接続しているとスリープしない状態になったりするし、その設定をオフにしても実は何かあるんじゃないの?とか、15分を 3分にしたことで挙動が違ったりするんじゃないの?とかいろいろ考えてしまうのだが、まあそのときはそのときだ。
Android Studio の Logcat タブでアプリが (DEAD) になるようであればアラームを受け付けることはさすがにできないだろう(と思ったが、タスク一覧から上スワイプすると DEAD になったので違うのか)。
adb shell でログインすると、 dumpsys というコマンドが使用できる。
dumpsys | Android デベロッパー | Android Developers
https://developer.android.com/studio/command-line/dumpsys?hl=ja
dumpsys コマンドだけたたくとすべてのシステムサービス情報を出力しようとするので、対象とするサービスを指定するのがよろしい。今回であれば alarm だ。
指定してもたくさん出力されるのだが、試作している alarmtest2 で検索するとこういう情報が見つかった。
ELAPSED_WAKEUP #5: Alarm{bef203a type 2 origWhen 27853758 whenElapsed 27853758 com.hiro99ma.alarmtest2} tag=*walarm*:com.hiro99ma.alarmtest2/.NotificationReceiver type=ELAPSED_WAKEUP origWhen=+2m54s204ms window=+2m15s0ms repeatInterval=180000 count=0 flags=0x0 policyWhenElapsed: requester=+2m54s204ms app_standby=-5s796ms device_idle=-- battery_saver=-5s796ms whenElapsed=+2m54s204ms maxWhenElapsed=+5m9s204ms operation=PendingIntent{77e94eb: PendingIntentRecord{b073248 com.hiro99ma.alarmtest2 broadcastIntent}}
ここでは ELASPSED_WAKEUP と経過時間で発火するように指定している。おそらく 3行目の type=ELAPSED_WAKEUP の次に出ている origWhen が発火するまでの残り時間だと思う。時間をおいて取得すると減っていたからだ。
これは、alarmtest2 アプリを起動すると出てきたし、タスク一覧で上スワイプして消したときも残っている。たぶん発火すると「App Alarm history」というところにも出てきたし、Alarm stats にも出てくるようになった。しかしアプリ情報から強制停止させると出てこなくなった。おそらくだが、アプリ情報から強制停止ボタンがタップできるような状態であればアラームは動くんじゃないかな。強制停止でアラームが消えるのは、登録元が消えたからか通知先が消えたからか。まあどっちでもよいが、確認するためには通知先を別アプリにしないとわからんな。
ん?
ということは、自分で自分にアラームを仕掛けておいて自分を起動する、というのは無理というか、既に起動しているから表に出してあげるだけで目的を達成できるんじゃなかろうか。
override fun onReceive(context: Context?, intent: Intent?) { val actionIntent = Intent(context?.applicationContext, MainActivity::class.java).apply { action = Intent.ACTION_MAIN addCategory(Intent.CATEGORY_LAUNCHER) flags = Intent.FLAG_ACTIVITY_NEW_TASK } context?.startActivity(actionIntent) }
こんな感じだろうと思ったのだが、例外は発生しないもののアプリが表に出てくることはなかった。 Notification をタップしてアプリを表に出すときはこれでよかったのだが、状況が違うのか。
? I/ActivityTaskManager: START u0 {act=android.intent.action.MAIN cat=[android.intent.category.LAUNCHER] flg=0x10000000 cmp=com.hiro99ma.alarmtest2/.MainActivity} from uid 10502 ? W/ActivityTaskManager: Background activity start [callingPackage: com.hiro99ma.alarmtest2; ...(中略)...; inVisibleTask: false] ? D/ActivityTaskManager: getPreferredLaunchDisplay userset_displayid false current displayId -1 ? D/ActivityTaskManager: getPreferredLaunchDisplay userset_displayid false current displayId -1 ? E/ActivityTaskManager: Abort background activity starts from 10502
BroadcastReceiver だからダメなのかと思い、AlarmManager から setRepeating() するときの PendingIntent で同じ actionIntent を呼ぶようにして設定したのだが、それでも同じだった。
「ダメだった」という状況について説明していなかった。
手順はこうだ。
- alarmtest2 を起動する
- タスク一覧を出して alarmstart2 を上スワイプする
- アラームが発火するまで待つ(本体は 2分でスリープになる)
3分以上待っているとアラームが発火して Logcat に何か出てくるので、そのときにスマホをスリープ解除して画面を出し、alarmtest2 アプリが表に出ていれば成功、出ていなければダメ、という判定の仕方をしている。
logcat の 「Abort background activity start」がエラー出力なので、そこら辺か。
バックグラウンドからのアクティビティの起動に関する制限 | Android デベロッパー | Android Developers
https://developer.android.com/guide/components/activities/background-starts
あー、ユーザが操作しているのにいきなり表に出てくる可能性があるから制限がかかるのか。
わかる。私だったら怒るね。
ただ、私は alarmtest2 を API 26 以上ということで作っている。であれば API 29 からというこの制限から外れるんじゃないのか?
雰囲気からすると、ここに書いている APIレベルは本体の OS のものということだろう。
ともかく、Android としては「時間に依存する通知」を使ってほしいそうだ。リンク先や "ヘッドアップ通知" という言葉も出てくるので、いわゆる Notification を使えってことなのだと思う。 Notification → 通知をタップしてアプリを出す、がよいのかな。
というわけで、Notification を追加した alarmtest2 の最新版がこちら。
https://github.com/hirokuma/AndroidAlarmTest/commit/7aea025ed07fd53d4774a526f3328984ff4994a7
前々回の Notification 記事から持ってきたのだが、Notification を表示するタイミングとコンテキストが違うので多少変更されている。
アプリが起動して行うのは Notificationチャネルの作成のみ。
BroadcastReceiver の onReceive() で Notificationの作成と表示を行っている。記事を書いたときは with という Kotlin のスコープ関数なるもので notify() を呼んでいたが、BroadcastReceiver からは使えなかったので普通に書いた。
これを実行すると、数分おきに Notification の通知が行われる。スリープしていても Notification が出てくるので非常にうっとうしい。 API が間違っていなくても用法を間違うと嫌な動作をするという例と思ってもらおう。
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